ココロまいるど

武道と瞑想の実践と、お釈迦様の教えから学んだことを、色々なところからヒントを得て記事にしています。

十思の四

2011.09.14 Wednesday 00:50
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    JUGEMテーマ:こころ

    「満ち溢れることを恐れるときは、江や海があらゆる川よりも低いところにおることを思い、」

     

    自分で買ったり、人からプレゼントされたりして色々な物が手に入る。あるいは、人々から自分のスタイルが注目される。

    このように金品や食べ物などのモノだけでなく精神的にも満たされると、人生で成功しているように感じます。物事が自分に集まってくると楽しいのです。世の中の流れが自分の方向に向いているように感じることができれば、充実した日々が送れます。だから、いつも注目されていることを願い、モノに満たされていることを願うのです。

    このような願望の度が過ぎてしまうと、自己中心的な性格がどんどん強められます。他人は私のために尽くすのが当然だと思ったりもします。自分のお気に入りの人はよい人となって好きになり、そうでない人は悪い人となって嫌いになります。どちらでもない人は目に入りません。

    やがて、好きな人とだけ付き合うようになり、嫌いな人とは距離を置くようになります。そして、自分の人気が上がっていると思うにつれて、交友関係は限られた人とのみになっていきます。自己中心的な性格では、人とのつながりは広がるどころか、狭まっていきます。自分を高貴にするどころか、卑しくしてしまうのです。ところが、自分自身は楽しいものですから、こうした矛盾に気づきません。

     

    ここで、自然界に目を向けてみましょう。自然界で満ちて溢れるものを探してみると、湖や海が思い浮かびます。

    そこで、モノや注目を集めている「自分」を、「海」に例えてみましょう。そうすると、自分に注目してくれる人々やモノをプレゼントしてくれる人々は、「川」になります。

    山や平野から水を集めて川になって流れ、海に入ります。これが自然の状態です。

    どうしてそうなるのでしょうか。

    それは、海がどこよりも低い位置にあるからです。実にシンプルです。

    これを人に当てはめると、満ち溢れる人は他の誰よりも低い位置にいるということになります。低い位置とは、姿勢のことと思えば分かりやすいでしょう。満ち溢れる人は他の誰よりも姿勢が低いのです。

    低い位置にあるから、重力の働きによって水が自然に集まってきます。姿勢が低いから、愛の働きによって人が自然に寄ってきます。その方が落ち着くのです。

     

    川と海との関係をもっと詳しく見ていきましょう。

    水を集めて川という流れをつくって海になります。

    でも、水や川や海という区切りは本当にあるのでしょうか。境界線が引けるものでしょうか。

    ここまでが「川」でここからが「海」などという境界線などありません。これらは人がつくった概念に過ぎないのです。「自分」と「他人」も同じです。人の脳がつくった概念に過ぎません。本当は、「自分」も「他人」もありません。

    本当はありもしないものを勝手につくって、尊いものと考え、大切にするからややこしいことになるのです。自分だけに特別な価値があるわけではありません。これは不自然です。

    川も海も水の流れに過ぎません。人だってそうです。他人も自分も意識の流れです。

    自分と他人の区別をなくし、同じ意識であると理解しなければなりません。そうすれば、いつも広い心でいられます。

     

    さて、もう一つ大切なことがあります。

    それは、川に集まる水は一体どこからきたのかということです。

    山や平野に含まれる水の元は、雨ですね。

    では、その雨はどこから来たのでしょう。

    海や川からです。海や川から水分が蒸発して、大気中で水滴となって集まって、雨になって山や平野に降り注ぎます。

     

    このことを観察すると、他人から与えられるものは、自分が与えたものであることが分かります。先ほどの姿勢の話とあわせて考えると、自分を満ち溢れさせる、つまり自分を豊かにするには、まず自分から与えることが大切であると理解できます。

     

    さらに、水が自然に低い位置に集まって落ち着くことが自然の秩序であるならば、邪な意図をもって作為的に姿勢を低くするのではなく、自ずと低い姿勢にあることが人の秩序を守るということ、つまり礼に適っているということです。

     

    このように、まず自ら与えることが自分を豊かにすることであると知り、自ずと低い姿勢にあることが大切なのです。

     

    ※ 2012年1月22日に、一部修正しました。
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