ココロまいるど

武道と瞑想の実践と、お釈迦様の教えから学んだことを、色々なところからヒントを得て記事にしています。

自分自身へのこだわり

2012.07.12 Thursday 00:34
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    JUGEMテーマ:こころ

     世界で一番の美人を選ぶ大会が開かれようとしていた。
     その女性は、大会での優勝という、選ばれし者だけが味わえる夢のような世界にあこがれ、優勝するためのあらゆる努力をおしまなかった。
     大会に出場し、望みどおり優勝した。
     その一瞬で、生活が一変した。
     自国から出たことがなかったのに、世界中を飛び回るようになった。
     上流階級と交流する機会が増え、社会への影響力が増した。
     そして、この若さと美しさを失いたくない、と恐れるようになった・・・


     人から賞賛されて有頂天になる。
     人から非難されて落胆する。
     このことから、褒められても貶されても、人は心を乱してしまうことがわかります。

     寵愛を受けて栄達している者は、悦びと同時に、没落への危惧を抱いているのです。やがて時が経てば、孤立無援となって、没落が現実のものとなります。
     このことから、悦びを感じることも危うさを感じることも自分の内にあることがわかります。
     
     このような「恐れ」があるのは、自分が生きているからなのです。

     自分自身にこだわるところがなければ、思い煩うことは何もありません。加えて、自分のことのように、ほかの生命のことも慈しめる人ばかりであれば、世の中は平穏です。
    ものがたり | - | - | - | - |

    心の毒

    2012.05.13 Sunday 19:16
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      JUGEMテーマ:こころ

       買い物ついでによく立ち寄る時計屋がある。
       輸入ブランドの品ぞろえの豊富さで有名なこの店には、生産数の限定された時計も少なくない。

       どちらの方がいいのだろう。
       時計のフェイスと針の色合いを見る。
       針はシャープな方がいいと思った。
       こちらの腕時計は、グレーの文字盤に、ブルーの針が素敵だと思った。リューズに使われた宝石が、さりげない上品さを出しているのも良い。
       こちらの腕時計は、機械式なのに厚みを抑えているところに、技術の高さがあらわれている。
       チタン製のメタルバンドよりも、黒の牛革バンドの方が、スーツを着た時の品格が上がると感じられた。
       良い方を買って帰りたい、といくつもの腕時計を手にとって見比べているその腕には、先週買ったばかりの高価な腕時計がはめられていた・・・


       極彩色は目を眩ませます。
       耳に心地よい音はほかの音を入らなくします。
       豪華な料理は味わうことを鈍らせます。
       ギャンブルは心を狂わせます。
       貴重な財宝を持つと心配で夜も眠れません。

       ですから、理性ある人は、このような心の毒を遠ざけ、智慧を育てます。
       そうしないと、真理から離れ、つまらぬことに心を奪われるからです。

      ものがたり | - | - | - | - |

      本当に役立つところ

      2012.04.22 Sunday 23:35
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        JUGEMテーマ:こころ

         今回出品された新種のチューリップは、炎を連想させる波紋の白磁の鉢に植えられていた。鉢のつやのある冷たい印象と炎のモチーフ、そしてチューリップの花のコントラストが衝撃的で、凛とした美しさをたたえていた。花の前に立った者は、息をするのも忘れて、ただ見入るばかりだった。オークションにかけられたチューリップの値段は、入札者たちの想像よりはるかに早く上がっていった。あわてた人々が、さらに値を吊り上げていった。結果的に、平均的な庶民が一生のうちに稼ぐ七倍以上の値段で落札された。のちに、チューリップ・バブル期という時代の話だ・・・


         流行のデザインの服が作られますが、本当に役に立つのは身体を守る内側の空間であって、外見ではないのです。

         鮮やかな模様の器が作られますが、本当に役に立つのはものを容れる内側の空間であって、外見ではないのです。

         豪奢な装飾をしつらえた家が建てられますが、本当に役に立つのは雨風をしのぐ内側の空間であって、外見ではないのです。

         必要なのは空間ですから何を選んでも良いはずなのに、自分の好みで、「これが好い」「あれは気に入らない」と選り好みをしてしまうのです。

        ものがたり | - | - | - | - |

        理性ある人は

        2012.04.03 Tuesday 23:46
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          JUGEMテーマ:こころ
            
           肖像画の人物の指には、大きな宝石があった。これを身につけると富貴の極みに至る、といわれがある。
           
          確かに、肖像画の人物は当時の人臣の位を極めたといってよい。 
           
          存命中は、その宝石を肌身離さず大切にしていたというが、死後、その宝石をめぐって、血なまぐさい争いが生じた。 
           
          多くの人々の命が失われ、現在、その宝石の行方は知れない。
           
          人は、宝石の力を信じ、求め、執着した。
           
          富貴にしてくれるはずの宝石に心を奪われ、混沌をもたらした。
           
          この宝石には、本当に、富貴にしてくれる力があったのだろうか・・・

           
           
          理性ある人は、心に真理に至ることをしっかりと抱いて、真理に至るための修行から一瞬たりとも離れません。

           
          理性ある人は、生きる力をしなやかに保ちながら、心は生まれたときと同じくらい無垢であるのです。


           理性ある人は、自我で心を汚さず、真理を探究し続けています。
           
           理性ある人は、人を慈しみ、あらゆる生命を慈しみ、世の中を平穏にします。
           
           
          理性ある人は、ものごとの生滅を、あるがままに受け入れます。
           
           
          理性ある人は、真理に至る智慧にあふれ、物事や現象に執着することがありません。

          ものがたり | - | - | - | - |

          やがては

          2012.03.24 Saturday 18:05
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            JUGEMテーマ:こころ

            その夜は満月だった。

            月の光は明るく、灯りを持たなくても、外を歩けるほどだった。

            家の裏手をしばらく行くと、道はなだらかな登りとなり、小高い丘に続いている。

            あたりは静かで、地面を踏む自分の足音のほか、風の音も聞こえない。

            道の左手には苔むした石垣があって、昔この辺りを統治していた領主の館があったという。

            いまでは石垣の上に木々が大きく茂っており、張った根が内側から押しているのか、ところどころ石垣が崩れている・・・

             

            満ちた月もやがてかけていく。

            満ちた潮もやがてひいていく。

             

            歴史を振り返ってみましょう。

             

            絶世の栄華を誇った人物や名家も、やがては衰えていきました。溢れかえるほどの財宝を貯えても、やがては散逸するのです。

             

            どれだけ財産を持っていても、どれほどの名誉を誇っていても、死んでしまえば、それらを楽しんだり喜んだりできません。

             

            変化し続けてとどまることがない。

            これが真理なのです。

             
            ものがたり | - | - | - | - |

            最善の人

            2012.03.13 Tuesday 22:24
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              JUGEMテーマ:こころ
               

              気がつくと、公園のベンチに老人が座っていた。

              服装から、さっきまでこの辺りのごみを拾って掃除していた老人だとわかった。

              先ほどごみを拾っていたところに、お疲れ様です、と声をかけたら、ビニールやプラスチックを集めている、と老人は答えた。落ち葉や食べ物の残りは公園にいる生き物の誰かが必要とするから奇麗になるが、これらは誰も欲しがってはいない、と手に持ったごみを見せてくれた。

              いまベンチに座っている老人は満たされた様子で、ゆったりとした雰囲気に包まれていた。

              少しも警戒することなく、小鳥たちが老人の周りを飛び跳ねていた・・・

               

              最善の人は、足りていることを知っているので、最小限必要なものだけで満足しています。ほかの生命を平等な存在として認めているので、分かちあい、大事にします。そして真理にもっとも近くにいます。

               

              最善の人は最小限の衣食住と薬があればよしとして、心は慈悲に満ちています。相手を大事にして、やさしくて慈しみの言葉や必要なものを与えます。仕事では無駄をやらず、最適な時機に有意義な行動をします。

               

              最善の人は争うことがないので、他人から非難されることもありません。

              ものがたり | - | - | - | - |

              自我がなくなったとき

              2012.03.03 Saturday 00:02
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                JUGEMテーマ:こころ

                 長く伸びた爪を切っていたら、深く切ってしまった。

                痛みが続き、気になって仕方がない。

                机の上には、切り落とされた爪が転がっていた。

                切られる前は、この爪も私の一部だったのだな、とふと思った。切られる前、爪は私の身体の全体と繋がっていた。深爪をした時の痛みも感じた。痛みが確かにそこにあった。私が痛みの感覚と共にそこにあった。

                そのとき爪は私の一部だった。

                でも、机の上にあるこの爪は、私だろうか。

                爪を見ているのが、私。爪は私でない。

                ならば、爪だけでなく、私の身体を割っていくと、どうなるのだろうか。

                割れて転がっているのを見ている方が私だろうか。

                でも、割れて転がる前のものも私であったもの。

                そう考えると、大事にして、こだわっている「私」というものが極めてあいまいなものだと気づいた・・・

                 

                真理は、宇宙や地上のあらゆる現象において普遍です。

                 

                真理を見出すのは、自我がなくなったときです。

                自我がなくなれば、自然に生きることができます。これでこそ、与えられた寿命を全うできるのです。

                 

                真理を見出せる人は、自我のない世界に身をおきます。自我がないから、欲や怒りなどの心が汚れる感情を持ちません。

                 

                自我のないところに生きているので、感情が生じても、すぐに気づき、その感情にとらわれることがありません。

                自分の身体にもとらわれることがないので、安穏にすごせます。

                 

                真理を見出せる人は、全く自分のことを優先することがないので、すべての生命のために生きることができるのです。

                ものがたり | - | - | - | - |

                変化し続けるもの

                2012.02.16 Thursday 23:23
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                  JUGEMテーマ:こころ

                  その白磁の壷はとても薄くて硬かった。指ではじくと、透明な高い音がした。祖父が買って、父が大切に守ってきたものだ。そういう壷の歴史も好きだったが、白磁の肌の色と金属的な音色にも魅せられていた。

                  私は柔らかい布でいつも壷を磨いていた。磨きながら、肖像画でしか見たことのない祖父の顔を思い浮かべ、私と同じように白磁を磨いていた父の姿を思い出すこともあった。その壷が傍にないと、家族の歴史そのものを失うようで、とても不安になっていた。

                  その日も白磁を磨き終わって、手を休めようとした時だった。磨いていた布を落としそうになって、あわてて取ろうとした。肘が白磁の壷を乗せた机にあたって、大きく揺らした。

                  瞬きする間もなく、私の目の前に、粉々になった白い破片が広がっていた。

                  しばらく呆然としたが、壷があったとき常に抱いていた不安がなくなっていることに気づいた。それは何やら解放された気分で、とても楽になった・・・

                   

                  心は、生じては消えることを繰り返しています。

                   

                  身体には死が訪れて終わりがきますが、心は絶えることがありません。

                   

                  心も身体も、変化し、動き続けていて、休むことはありません。変化し続けているから、ここにあるのです。

                   

                  変化し続けていることに身をゆだねる人には、何ごとにもとらわれない真の自由が訪れるのです。

                  ものがたり | - | - | - | - |

                  自然はどこにある?

                  2012.01.24 Tuesday 01:21
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                    JUGEMテーマ:こころ


                    目の前の発掘現場では直線的な盛り土が続いていて、三千年ほど前の堤防の跡だという。その時代には、この辺りに川が流れていて、定期的な氾濫を繰り返していたらしい。

                    いまはこの辺りに川はない。

                    川は定期的な氾濫を繰り返すことで、沃土を運び、この辺りは実り豊かな地方であった。付近には、畑の跡も多くみられている。

                    今は乾燥しきっていて、一握りの緑も見いだせない。

                    堤防の完成を喜んだ当時の人々は、今のこの風景を想像し得たであろうか。自然に勝ったとでも思ったであろうか・・・

                     

                     

                    自然は、穏やかさで命を育むやさしさがあると同時に、荒々しさで命を奪う厳しさもあります。

                     

                    人間も自然の一部であるのに、自然から分離した特別な存在であるという邪まな考えを持つから、生きることに苦しむのです。

                     

                    自然では、お互い引っ張り合って、重くなり、集まったら離れます。常に変化し、とどまることはありません。

                    このようにして、万物は生み出されているのです。

                     

                    どれだけ言葉を費やして知識を増やしても、自然を説明し尽くすことはできません。

                     

                    それでも、自然はあります。

                    ものがたり | - | - | - | - |

                    真理の気づき

                    2012.01.18 Wednesday 01:22
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                      JUGEMテーマ:こころ
                       


                       夏の終わり。

                      地元で古くから行われているお祭りが村人総出で行われていた。水と火と土地の神様にこの秋の豊穣を祈るお祭りだった。

                      秋に穂を実らせる神秘的な力を感じて、それを「神様」と名付けて、真剣にお祈りする。粗末にすると罰が当たる、とその大いなる力に畏敬の念をもっている。

                      一緒にお祭りすることで、この土地に住む者の間に一体感ができ、仲良く暮らすことができている。これも神様のなせる業なのかもしれない。

                      そして、村人の誰もが実体のある神様の姿を持っている。

                      どうも、神様とか、大いなる力を考えるとき、知らないうちにリアルな姿をイメージしている。

                      思考は実体あるものしか認識できないようだ・・・

                       

                       

                      真理についての概念をもってしまうと、それは真理ではありません。

                       

                      真理は、言葉で説明できるものではなく、集中力を高め、自分をとおして万物を観察し続けたところにあるのです。

                       

                      真理は、万物に普遍に働いていますが、心が清く穏やかな状態でないと、気づくことができません。真理に気づけば、怒りや欲や無関心で心が乱されることなく、いつも幸福でいられます。

                       

                      真理は、知識として得るものではなく、ただ気づくだけなのです。

                      ものがたり | - | - | - | - |